主要な業績の説明
電子技術(エレクトロニクス)の主役である電子をはじめ、原子の世界の微小要素は、日常的な物体とは全く違う性質を示す。たとえば電子は、ある場合、空間の狭い部分を占める粒子の性質を示すが、他の場合、空間に拡がる波動の性質を示す。この二重性は、1930年代、量子力学という新しい物理理論が考え出されたあと広く認められて、たとえ話や概念図で説明されるようになった。とはいえ、電子の「粒子」の個々の流れが「波動」として干渉する(明暗模様を見せる)のを直接に画像として示すことは、不可能だった。
外村は電子線ホログラフィーを実用化し、量子的現象の像を写真、ビデオまたは液晶パネルで観察する道を開いた。これは日立製作所の研究部門が蓄積してきた高度な技術をベースにして初めて可能になったものであり、研究の始動を紹介したある雑誌は「基礎的学問にとって重要な成果が日本の民間企業から生まれたこと」を重視し、当時の海外ジャーナリズムの「日本のハイテクの外国基礎研究タダ乗り論」をはねかえす大きな力になると強調した。1983年以後、同社で開かれている「量子力学の基礎と新技術」国際シンポジウムは、「外村の美しい実験のお蔭で…」との共感に支えられて成立したといわれる。
●電子線ホログラフィー
1979年、外村らは、針状の金属の尖端に局部的な電圧を与えて電子を引き出す方式の電子顕微鏡に改良を加え、
平面的に進行する(干渉性のよい)電子波を発生させることに成功。それとレーザー技術とを結合して電子線ホログラフィーを実用化
し、1980年、磁性薄膜などの内部の磁力線の観察に成功した。
(写真:電子の粒子・波動二重性を示す実験。左は画像電子の数=1,600 右は電子の数=10,000。『量子力学を見る―電子線ホログラフィーの挑戦』岩波ライブラリ−28(1995年),
pp.54-55より)
●アハラノフ-ボーム(AB)効果の実験的証明
1959年、V. アハラノフとD.
ボームは、存在しないはずの磁場を電子が感じとるという効果を理論的に予見し、物理学者の間の論争を誘い出した。外村は1982年この効果を実験的に観測し、1986年それを確証した。 |
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